飢餓海峡

  • 2008/01/14(月) 08:59:27

昨夜観た映画DVDは、内田吐夢監督の超大作、上映時間3時間2分の「飢餓海峡」である。
おかげで今日は睡眠不足だが、成人の日で連休だからそれでいいのだ。

1946年、青函連絡船が嵐で沈没し、乗客の遺体が収容される。しかし、その数が名簿よりも多い。ベテラン刑事の弓坂(伴淳三郎)は、転覆のどさくさで起きた殺人事件と睨み、執念の捜査を続けていく。そして10年後、犯人(三國連太郎)は事件当時の彼を知る遊女(左幸子)と偶然再会してしまった…。
水上勉の同名小説を原作に、巨匠・内田吐夢監督が人間の内に潜む心の闇をスリラー仕立てで見事に描ききった、堂々3時間におよぶ傑作超大作で、そこには自身の人生観も多分に反映されている――


飢餓海峡

飢餓海峡

監督:内田吐夢

参考価格:¥ 4,725

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実は、最近この文庫本「飢餓海峡」を読み始めたのだが、なかなか読み進めることができなかった。というのも、上下それぞれ400ページという長編なのである。
それで、つい浮気をして、映画(DVD)から先に観ることにした。
かつて「観てから読むか、読んでから観るか」というキャッチコピーがあったが、「読みかけてから観た」ので、これからあらためて水上 勉の原作を読了したいと思っている。


飢餓海峡 (上巻) (新潮文庫)

飢餓海峡 (上巻) (新潮文庫)

著:水上 勉

参考価格:620

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飢餓海峡 (下巻) (新潮文庫)

飢餓海峡 (下巻) (新潮文庫)

著:水上 勉

参考価格:620

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【追記】
やっとのことで新潮文庫の「飢餓海峡」上下巻を読み終えた。
映画では曖昧なままであった、主人公犬飼多吉(のちの樽見京一郎)の津軽海峡での殺人だが、最後の樽見の自白のとおり、正当防衛による事故死だったことになっている。
映画では、小舟の上で櫂をふりまわす樽見のフラッシュバックの印象が強く、ほぼ樽見による殺人だったとも受けとれた。

大きく異なるのは、舞鶴での樽見邸における、杉戸八重殺害の方法である。
原作では、予想もしなかった八重の登場に狼狽した樽見京一郎が、毒入り紅茶を飲ませて殺害しているが、映画では絞殺だ。
しかも、八重が樽見の親指の欠損を視とめて詰め寄るという、背筋がゾッとするような決定的なシーンの記述がどこにも見当たらない。
長期の新聞連載により、著者の水上勉が重要な伏線を失念していたのかと読み返してみたが、下北は大湊のあいまい宿「花家」で樽見と八重が出会ったときに、ひどい手傷を負っていたとはあるものの、具体的に親指の欠損とは書かれていなかった。
だとすれば、樽見邸での八重の「発見」は、内田吐夢監督の演出によるものであり、毒殺を絞殺に変更したこととともに、映像的には大成功であった。

もうひとつ、八重の遺品であるが、小説では現金が包まれていた古新聞のほかに、樽見が「花家」で使った剃刀とされているが、映画では八重が切ってやった、樽見の親指の大きな爪となっている。
八重はその爪を樽見の分身と考え、肌身離さず持っていた。
時には、その爪で自分の頬を引っ掻きながら自慰に興じるなど、原作にはない官能的なシーンが盛り込まれている。
この作品に関しては、私は映画が原作を大きく上回っていると考えるが、どうだろうか。









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